IN東京

 

上映とシンポジウム『アニメーション制作について:キャリアを積むには?』



11月4日(祝・月) 14:40 ~ 17:00

様々な分野で活躍しているアニメーション作家の方々にお集まりいただき、アニメーション制作の現状や今後の展望、ビジネス面とアート面の考え方、制作への心構えなど、それぞれの経験を踏まえた有意義な意見交換の場にしたいと考えています。パネリストの方々の自己紹介と同時に、各自の作品も上映されます。

来場者からの質問の時間も設けられており、これからアニメーション制作を目指す若い人たちだけでなく、美術やデザイン一般の制作活動を続ける人々にとっても、示唆に富んだ興味深い情報の場となるでしょう。

パネリスト: 奥井宏幸ダイノサトウ水尻自子山村浩二
司会西本企良

<パネリストと上映作品のご紹介>

奥井宏幸 / Hiroyuki Okui

東京都新宿生まれ新宿育ち。1994年武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒。
4年間の映像制作会社勤務を経て、1998年、3DCGをメインに使ったアニメーション、イラスト制作チームdigdog(ディグドッグ)を立ち上げる。ASIFA-JAPAN会員。第11回広島国際アニメーションフェスティバル国際選考委員。

上映作品
CAVE
監督:奥井宏幸  1994年  3分08秒

滅んでしまった人類の祖先ネアンデルタール人。北イラク、シャンダール洞穴で暮らす彼らの一人が物音に誘われて外に出て見るとそこには未来を暗示するような光景が広がっていた。
©Hiroyuki Okui

真珠採り
監督:奥井宏幸  1998年  2分50秒

夢想マシンに横たわる主人公。そのマシンを使って彼は自分の人生を振り返る。生まれたばかりの頃、中学生の頃、エゴが芽生えた頃、そして自己崩壊を起こしそうになるが、それを防いでくれたのはそれぞれの時代の彼自身であった。
©Hiroyuki Okui

 
不思議サーカス 第一話
監督:奥井宏幸  2012年  2分55秒

空飛ぶおんぼろトラックにゆられて4人と1匹(?)が星から星へと旅をする、世にも不思議なサーカス一座。 地球のサーカスとは、ひと味もふた味も違ったその演目は、一度見ればきっと癖になる! 奇妙奇天烈な不思議サーカスをご覧あれ!
©Next Media Animation Japan


ダイノサトウ / Dino Sato

1968年東京都生まれ。
東京理科大学建築学部、東放学園専門学校を卒業、CG制作会社を経て、96年よりフリーランスのCGアニメーターとなる。
主な仕事に、NHK教育『おはなしのくに クラシック』、映画『グスコーブドリの伝記』、東京モーターショー『グッドイヤーブース』立体視映像、東京国立博物館『東大寺大仏展』大型映像などがある。

上映作品
TREEDOM
監督:ダイノサトウ  1999年  4分32秒

イラストレーターU.G.サトーにより発表された、「TREEDOM」と名付けられた一連のポスターに時間と動きを与え、ポスターの凝縮された表現から得たインスピレーション によって、新たなアニメーションへの飛躍を試みた作品。
©U.G. Sato, Dino Sato

 
カエルのハコ
監督:ダイノサトウ  2009年  30秒

カエルは、捕まえようとする手から逃げながら、画面に置かれた3つのハコを行き来する。 フレームの中のフレームという関係性を表現した作品。
©Dino Sato

And I Lounged and Lay on Their Beds
監督:ダイノサトウ  2013年  1分23秒

ギリシャの詩人、C.P.カヴァフィス生誕150周年の展示企画に際し、 彼の詩篇からアニメーションを制作した。
邦題は、『私はあそこのベッドに泊まった』、 淫靡な旅館にあえて一人で泊まり、やせ我慢する詩人を詠んだ詩。
©Dino Sato


水尻自子 / Yoriko Mizushiri

1984年青森生まれ。手描きやコマ撮りアニメーションを中心に制作し、身体の一部をユニークな視点で捉えた独特のアニメーションを得意とする。
『布団』が第14回広島国際アニメーションフェスティバルで木下蓮三賞、第16回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で新人賞を受賞。

上映作品
布団
監督:水尻自子  2012年  6分02秒

布団の中に入る。頭に浮かぶ記憶、想像する此の先、思い起こす感触、染みついた性、  何もかも一緒に気持ちよくとろけていく。布団の中で身体が感覚を求めて彷徨う。
©Yoriko Mizushiri

かまくら
監督:水尻自子  2013年  5分22秒

田んぼの真ん中にかまくらをつくった。  白と静寂に満ちたその空間で、春が訪れるまで何をしよう。  かまくらが溶けるまで。溶けて形が崩れるまで。
©Yoriko Mizushiri



山村浩二 / Koji Yamamura

‘64 年生まれ。『頭山』がアヌシー、ザグレブをはじめ世界の主要なアニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞、第75回アカデミー賞にノミネート、また『カフカ 田舎医者』がオタワ、シュトゥットガルトなど7つのグランプリを受賞。これまで国際的な受賞は80を越える。東京藝術大学大学院教授。

上映作品
(以下の作品から抜粋を上映します)
水棲 (抜粋)
監督:山村浩二  1987年  5分

小川のせせらぎ、流れるリンゴ、水に映った空の中、自分自身の影がメタモルフォーゼし、無数の魚の幻影が、現われ消える。透過光と粘土で描いたアニメーション。
©Yamamura Animation

カロとピヨブプト おうち (抜粋)
監督:山村浩二  1993年  4分20秒

冬のある日、カロとピヨブプトが大きな木の前に降り立った。ふたりは、木の枝に家を作るため、材料や道具を集めに出かけた。ノコギリで木を切ったり、ペンキを塗ったりして、ふたりのおうちが完成した。
©Yamamura Animation

バベルの本 (抜粋)
監督:山村浩二  1996年  5分15秒

バスに乗り遅れた兄妹が、バス停のベンチに置き忘れられた古い本を手に取る。ページを開くと突風が起こり、地響きと共にページからバベルの塔が生えてくる。塔の中は、広大な図書館。中の老人がページを捲る度、文字が幻獣に変化して…。
©Yamamura Animation

頭山 (抜粋)
監督:山村浩二  2002年  10分

ケチな男が拾って来たサクランボの種を食べたために、頭に桜が生えて、そこに花見客が訪れる。花見客が騒がしくて桜の木を抜くと今度はその穴に水がたまって、海水浴客が集まってくる。落語「あたま山」を現代、東京に舞台を移し、アニメーションで新解釈を試みた作品。
©Yamamura Animation

カフカ 田舎医者 (抜粋)
監督:山村浩二  2007年  21分

雪の降り積もる、ある寒い夜のこと。田舎のしがない医者のもとに、急患の知らせが届く。それが全ての始まり。医者は、おかしな人々に翻弄され、被害妄想にとらわれ、やがては寒空の下に放り出される。
©Yamamura Animation

マイブリッジの糸 (抜粋)
監督:山村浩二  2011年  12分39秒

1878年に、馬のギャロップの連続動作を撮影することに成功した写真家エドワード・マイブリッジの、波乱に満ちた人生と、21世紀の母と娘の情景、ふたつの世界が交差する。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を行き来しながら、様々なモチーフが交錯し、時間について哲学していく。
©Yamamura Animation



<司会者と上映作品のご紹介>

西本企良 / Kiyoshi Nishimoto

武蔵野美術大学卒業後、1982年よりフリーランス・アニメーターとして博覧会や博物館の展示用ソフト、CM、プロモーション・ビデオ、TV科学番組など、多様な分野のアニメーションを制作。コンピュータを用いたインタラクティブなメディアの草創期に於けるソフトの開発にも関わる。
自主制作作品に「積層体」「笑う月」などがある。
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授。

笑う月
監督:西本企良  2000年  6分

円と四角形が計12個の部分に分割され、それらが組み合わさって様々な物に姿をかえながら、ナンセンスな追っかけっこを展開する。ミニマルな要素でのアニメーション表現の試み。
©Kiyoshi Nishimoto