広島国際アニメーションフェスティバル

広島国際アニメーションフェスティバル

FAQ(よくあるご質問):広島国際アニメーションフェスティバル(広島大会)の今後

広島国際アニメーションフェスティバル(広島大会)の今後について、これまでASIFA(国際アニメーションフィルム協会)およびASIFA-JAPAN(ASIFA日本支部)に寄せられたご質問と、それらに対する回答をQ&Aのかたちで掲載いたします。なお、内容については、今後のお問い合わせ等に応じて随時更新してまいります。

Q1. 広島国際アニメーションフェスティバル(広島大会)について


注記: 2020年12月18日、広島市は、新しい催しとなる「総合文化芸術イベント(仮称)」の名称を「広島国際平和文化祭」とする旨を発表しました。

Q1-1: 広島大会は終わったのですか?
A1-1: ASIFAが公認し、ASIFA-JAPANが共催してきた広島大会は、不本意ながら、2020年8月に実施した第18回大会をもって終了することとなりました。

Q1-2: なぜ、第18回大会で終わったのですか?
A1-2: 2019年11月、広島市は突然、「これまでの形での広島国際アニメーションフェスティバルは第18回大会で終了する。2022年には、新しい催しとして『総合文化芸術イベント(仮称)』を開催し、その中でアニメーションも扱う。しかしその際、ASIFA(およびASIFA-JAPAN)とは行わない」と通告してきました。ASIFAとASIFA-JAPANは、広島市と共に長い年月を掛けて、広島大会を世界最高峰のアニメーション映画祭として認められるまでに育て、アカデミー賞やアニー賞の公認も得てきました。こうした成果を基に、さらなる発展に向けた企画を始動しようとしていた矢先のことでした。設立・公認団体であるASIFA、そして設立・共催団体であるASIFA-JAPANとの事前の相談も協議もない、突然の通告に大変驚きました。

Q1-3: 広島大会は、ASIFA、ASIFA-JAPANと広島市が協力して設立したものではないのですか?
A1-3: 広島大会は、恒久平和を希求する広島市と、アニメーションの発展を通じて国際的な友好と相互理解を目指すASIFAおよびASIFA-JAPANとが、互いの理念を共有し「愛と平和」の精神の下に創設したものです。木下蓮三(当時のASIFA理事、ASIFA-JAPAN会長)と木下小夜子(同ASIFA-JAPAN事務局長、現在のASIFA会長、ASIFA-JAPAN会長)が企画実現のために尽力し、当時の荒木武市長(第29代)の協力を得て1984年に設立しました。アニメーション芸術を幹として、真の国際平和文化都市を目指す広島市に「芸術文化の森を創る」という構想のもと、継続開催を約束したうえで活動を始めました。そして翌年の1985年に被爆40周年記念事業として第1回大会を開催。以降、ASIFA公認、ASIFA-JAPAN共催のもと、2020年の第18回大会まで継続開催してきました。広島大会が第1回大会からASIFA公認映画祭として開催できたのは特別なことでした。

Q1-4: 広島大会が第1回からASIFA公認(ASIFA Endorsement)を得たことは、なぜ特別なことなのですか?
A1-4: ASIFAの公認は、「ASIFA公認国際映画祭規約」を遵守しながら継続して開催することができた映画祭のみが得られるものです。したがって、第1回から公認が得られたのは極めて異例のことでした。第1回大会に先立ち、当時の荒木武市長はASIFAに対して公認の要請を行い、ASIFAは、ASIFA-JAPANが共催者として運営に責任を持つことを条件に公認を付与しました。

Q1-5: ASIFA-JAPANと広島市はどのような役割分担で広島大会を開催してきたのですか?
A1-5: 木下小夜子フェスティバルディレクターの総指揮のもと、ASIFA-JAPANが共催者として、フェスティバルの国際的な運営とコンペティションや特別プログラムなどアニメーションに関するコンテンツに責任を持ち、広島市が資金面を担うという協力関係で開催してきました。

Q1-6: ASIFA-JAPANは、広島市に対して広島大会の継続を求めないのですか?
A1-6: ASIFA-JAPANは広島市に対して、これまでと同様の形で広島大会を継続するよう、口頭や書面を通じて繰り返し要望しましたが、市の考えは変わりませんでした。また、ASIFA-JAPANは市との意見交換を希望しましたが応じて頂くことなく、市は従来通りの主張を繰り返すだけでした。その間、市は着々と新しい催しの準備を進め、検討委員会も発足しているようです。市が、広島大会の設立・公認団体であるASIFAや設立・共催団体であるASIFA-JAPANに対して事前の相談も無く広島大会の終了を決め、異なる催しを新たに準備してきていることを遺憾に思います。

Q2. 広島市の新しい方針について


注記: 2020年12月18日、広島市は、新しい催しとなる「総合文化芸術イベント(仮称)」の名称を「広島国際平和文化祭」とする旨を発表しました。

Q2-1: なぜ、広島市はASIFAやASIFA-JAPANに相談をせず、一方的にフェスティバルを終了し、新しい催しに変更すると決めたのでしょうか?
A2-1: これまで何度も口頭や書面を通じて理由を尋ねましたが、今日まで明確な説明はありません。代わりに広島市は、新しい方針について繰り返し述べるだけです。市は、「広島大会は芸術性が高いため、地元の一般客には受け入れられてこなかった。新しい催しとなる『総合文化芸術イベント(仮称)』はもっと市民に分かりやすいものにしたい。インバウンドや地元のコンテンツ産業の振興に結び付け、経済の活性化や観光振興など、まちの賑わいづくりに資するものにしたい」と述べています。しかし、広島大会は国際映画祭としての役割を担う中で、これまでも地元青少年の育成や観光振興にも貢献してきました。市は、国際平和文化都市として「愛と平和」のメッセージを世界に発信することよりも、経済的な利益を今まで以上に優先することを選ばれたように思います。

Q2-2: ASIFA-JAPANは、広島市による広島大会の評価や新しい催しの方針についてどう思いますか?
A2-2: 広島市が述べる「芸術性」の意味は不明瞭ですが、芸術性が高いために一般市民には受け入れられないという見方は、市民の感性や芸術への理解を低くみていることから出てくる考えではないでしょうか。そればかりでなく、作家性が強く現れる短編作品を指して「芸術性が高い」と言っているのなら、劇場用長編やTVシリーズ、CM等の商業作品は芸術性が低いと言っていることに等しく、これらの作品に対しても失礼だと思います。ASIFA-JAPANは、短編も長編もTVシリーズも、あらゆるアニメーションを等しく芸術として認識しています。これまでコンペティションは短編に限られていましたが、特別プログラムでは劇場用長編やTVシリーズ、CM等、様々なアニメーションを上映してきました。作品の長さや鑑賞される場と、本来の意味での「芸術性」とはまったく関係がありません。

Q3. 広島市による新しい催しの「アニメーション部門」について


注記: 2020年12月18日、広島市は、新しい催しとなる「総合文化芸術イベント(仮称)」の名称を「広島国際平和文化祭」とする旨を発表しました。

Q3-1: 広島市は、新しい催しの中に国際コンペティションを含む「アニメーション部門」も設けるとしていますが本当ですか?
A3-1: 広島市からはそのように聞いています。また、広島市公式ホームページに掲載されている「総合文化芸術イベント基本計画策定支援業務 基本仕様書」にも、「メディア芸術ジャンル」の中でアニメーションのコンペティションやプログラムを催すことが書かれています。

Q3-2: 新しい催しの「アニメーション部門」はこれまでの広島大会の後継ですか?
A3-2: これまでの広島大会とは全く異なる別の催しです。広島市の基本計画をみると、市は新しい催しの「アニメーション部門」を広島大会の後継と位置付けようとしています。しかし、広島大会の設立・運営に深く関わり、広島大会を世界最高峰のアニメーション映画祭に育てた共催者であるASIFA-JAPANを運営から外し、異なる事業者によって異なる趣旨の運営がなされる場合、その催しは広島大会の後継とは捉えられないと考えるのが常識です。広島大会の成功だけを引き継ごうとする市の姿勢は、理に適わないものだと思います。

Q3-3: ASIFAとASIFA-JAPANは新しい催しの「アニメーション部門」に関わりますか?
A3-3: ASIFAならびにASIFA-JAPANは、広島市が計画している新しい催しに関わる予定はありません。

Q3-4: ASIFAは新しい催しの「アニメーション部門」を公認しますか?
A3-4: 広島大会とは別の催しとなるため、ASIFAの公認は今後いったん取り消されます。映画祭がASIFAの公認(ASIFA Endorsement)を得るためには、「ASIFA公認国際映画祭規約」が定める厳格な基準を満たした映画祭運営が求められます。コンペティションや特別プログラムに関する基準のほか、作家や関係者等の招待、広報、著作権保護、表現の自由の保障等、映画祭運営全体について、国際的な基準からみた高いクオリティが求められます。近年では、ASIFA公認(ASIFA Endorsement)の映画祭は、世界で唯一、広島大会のみとなっていました。

Q3-5: ASIFA公認(ASIFA Endorsement)を得るのは難しいことですか?
A3-5: 広島大会以外の世界四大アニメーションフェスティバル(アヌシー、ザグレブ、オタワ)についても、現在は、ASIFA公認(ASIFA Endorsement)ではなく、ASIFAパートナーシップ映画祭(ASIFA Partnership Festival)となっています。なぜなら、「ASIFA公認国際映画祭規約」を遵守することが大変難しいからです。広島市による新しい催しの「アニメーション部門」が、国際コンペティションを含めASIFAが設定する厳しい基準をすべて満たしたうえで、複数回にわたり継続的に実績を積み上げない限り、ASIFA公認となることはないでしょう。

Q3-6: 新しい催しの「アニメーション部門」は世界四大アニメーションフェスティバルの称号を引き継げますか?
A3-6: 引き継げません。なぜなら、新しい催しの「アニメーション部門」は、これまでの広島大会とは趣旨も内容も運営形態も異なる催しになるからです。

Q3-7: 新しい催しの「アニメーション部門」はアカデミー賞やアニー賞の公認映画祭になりますか?
A3-7: 新しい催しは、これまでの広島大会とは異なる催しになるため、常識的には両賞の公認を得られるとは考え難いです。広島市は新しい催しを広島大会の後継と位置づけ、アカデミー賞やアニー賞の公認もそのまま引き継ごうとしているようですが、倫理的には一旦公認を返上し、賞に値する映画祭に育ててから改めて評価してもらうべきではないでしょうか。

Q3-8: 新しい催しの「アニメーション部門」が行うコンペティションに応募すべきでしょうか?
A3-8: 申し訳ありませんが、ご自身でご判断ください。ASIFAもASIFA-JAPANも新しい催しに関わる予定はありませんので、その内容や信頼性についてコメントできる立場にありません。

Q4. ASIFA-JAPANの今後の方針について


Q4-1: ASIFA-JAPANは、ASIFAの精神を受け継ぐ新しい国際アニメーションフェスティバル - International Animation Festival in Japanを設立しますか?
A4-1: その方向で考えております。

Q4-2: 世界のアニメーション関係者へのメッセージはありますか?
A4-2: 広島市と共に開催して参りました広島大会に対し、今日まで皆様から賜りました温かいご支援とご協力、そして友情に対し、心より深く感謝申し上げます。皆様に育てて頂きました第18回大会までの歴史と成果は、ASIFA-JAPANにとりましても、かけがえのない宝物です。世界中の多くの皆様から、ASIFAが公認しASIFA-JAPANが主体となって運営する質の高い映画祭の開催を望む声を頂き、励まされております。皆様のご期待にお応えできるよう、そして、International Animation Festival in Japanを開催できるよう、努力してまいります。

公式声明:広島国際アニメーションフェスティバル(広島大会)の今後